卵殻膜との出会いと研究の経緯
私が卵の不思議に気がついたのは、小学校1年生の時。
親から何の栄養ももらわないのに温めるだけで元気なヒヨコが生まれてくるのを見たときからです。
何故だろうと不思議に思い続けておりました。
そんな思いの中で、私が20代中頃のことです。
当時人気No.1のプロレスラー力道山がテレビのインタビューで
「相手の外国人レスラーが血だらけなのに、どうして貴方は血だらけにならないのか?」
という問い掛けに対し
「外国人レスラーは切れるとそこを縫って治すのです。
縫うとそこが硬くなり、またすぐ切れやすくなってしまう。
私は怪我をしたときは、卵の薄皮を張って治すんです。
卵の薄皮を張って治すとその部分は柔らかくなり切れにくくなる事を、相撲時代に学習したのです。
だから私は血だらけにならない。」
という話をしていました。
それを聞いた時に、子供のころから不思議に思っていたこと、自分自身の中にあった
「卵の薄皮(卵殻膜)はキズ治療にスゴイ力を持っている」という仮説が裏づけられたと確信致しました。
こうして、卵殻膜のパワーを確信したこの時から、私はいつか卵殻膜を使った商品を開発したいと強く思うようになったのです。
しかし、卵殻膜は、その強靭な線維構造から、研究素材としても、商品素材としても、実に使い勝手の悪い、扱いづらい素材だったのです。それは、卵殻膜が熱に強く、水や油にも解けないという難しい特性を持つ為で、過去にも多くの研究者が私と同じように、商品化に取り組んできましたが、この壁を乗り越えることができず、諦め、烙印を押されてきたのです。
そんな中、大手食品メーカー「キユーピー株式会社」に開発を依頼し、卵殻膜のもつ機能を損なわずに、加水分解された卵殻膜を配合した化粧品の製造販売を実現致しました。これは実に画期的な成果です。そして、そのことをきっかけに、2000年12月、東海大学岩垣名誉教授と私による卵殻膜の研究がスタートしたのです。
卵殻膜の研究が進む中、私にはある思いがありました。
「何とかして卵殻膜を食せるようにしたい!!」ということです。
顔や体に貼るだけで、こんなにも素晴らしい素材なのだから、食べることができれば、
体の中ではもっとすばらしい成果を得ることができるのではないか、そう仮説をたて、研究に取り組みました。
昔からお医者さんが「卵を丸ごと食べられたら本当に良いのに。」と話しているのも聞いておりました。
そして、「卵殻膜が食べられたら」その熱い思いの中から、2001年ついに今まで食べても消化不良を起こすだけであった卵殻膜を、私が特許を取得し、初めて”食べて消化吸収できる形”にすることに成功したのです。
岩垣名誉教授との研究に、一応の多くの成果が得られ、その後東京大学との卵殻膜に関する産学研究が始まりました。現在も続いている、跡見名誉教授グループ、加藤教授グループとの研究です。
私は、常に『事例は、サイエンス』と言い続け、今日まであきらめることなく、多くの関係者の皆様の協力をいただき、卵殻膜の研究を重ねてきました。
そして2011年5月、世界の権威ある「組織と細胞」に関する学術専門誌(研究者専門誌)に、私と跡見教授グループの卵殻膜研究の成果に関する論文が掲載されました。私の6歳から68年間思いつづけたきた事例と仮説がようやく検証され学術的に世界に認められ、学術的なスタートをきることができました。
卵殻膜は、天然素材でありエコであり安全であり容易に入手できます。
今後、ますます研究していくことで多くの人々にお役に立てる21世紀のスーパー素材に成長していくことを確信しております。
新たな健康戦略として活用されることを期待し、今後も東京大学との共同研究を進めてまいりたいと思っております。
学会発表
- ■日本農芸化学会2008年度大会
- ■2008年3月28日
- ■第107回日本皮膚科学会総会
- ■2008年4月18日-20日
- ■日本農芸化学会2009年度大会
- ■2009年3月28日
- ■第108回日本皮膚科学会総会
- ■2009年4月25日
- ■第49回アメリカ細胞生物学会
- ■2009年12月5-9日
- ■第109回日本皮膚科学会総会
- ■2010年4月16日
- ■第50回アメリカ細胞生物学会
- ■2010年12月11日-15日
- ■ヨーロッパの専門ジャーナル「Cell & Tissue Research」
- ■2011年5月18日
- ■日本発生生物学会
- ■2011年5月20日
- ■日本結合組織学会学術大会/マトリックス研究大会合同学術集会
- ■2011年6月10日
- ■日本細胞生物学会①
- ■2011年6月27日
- ■日本細胞生物学会②
- ■2011年6月29日
- ■欧州研究皮膚科学会
- ■2011年9月10日
- ■日本未病システム学会①
- ■2011年11月19日
- ■日本未病システム学会②
- ■2011年11月19日
- ■アメリカ細胞生物学会
- ■2011年12月6日
- ■日本研究皮膚科学会①
- ■2011年12月9日
- ■日本研究皮膚科学会②
- ■2011年12月9日
- ■第44回日本結合組織学会学術大会・第59回マトリックス研究大会合同学術集会
- ■2012年6月7日~8日(日本青年館ホテル)
- ■第49回アイソトープ・放射線研究発表会
- ■2012年7月10日
- ■第35回日本分子生物学会年会
- ■2012年12月14日
- ■2012アメリカ細胞生物学会
- ■2012年12月16日
- ■第112回日本皮膚科学会総会
- ■2013年6月15日
- ■第36回 日本分子生物学会年会
- ■2013年12月5日
- ■第53回 アメリカ細胞生物学会
- ■2013年12月14日~18日
- ■日本薬学会 第134年会
- ■2014年3月30日
- ■第113回 日本皮膚科学会総会
- ■2014年5月31日
- ■第46回 日本結合組織学会学術大会・第61回 マトリックス研究会大会合同学術集会
- ■2014年6月6日
- ■日本宇宙生物科学会
- ■2014年9月23日
- ■日本未病システム学会
- ■2014年11月1日
- ■日本分子生物学会
- ■2014年11月27日
- ■第54回 アメリカ細胞生物学会/国際細胞生物学連合会議
- ■2014年12月9日
- ■日本結合組織学会学術大会・マトリックス研究大会合同学術集会
- ■2015年5月15日
- ■日本皮膚科学会
- ■2015年5月30日
- ■繊維学会年次大会
- ■2015年6月11日
- ■日本未病システム学会
- ■2015年10月12日
- ■アメリカ細胞生物学会
- ■2015年12月13日
- ■日本養生学会
- ■2016年3月20日
- ■日本皮膚科学会
- ■2016年6月4日
- ■日本結合組織学会学術大会
- ■2016年6月24日
- ■日本未病システム学会
- ■2016年11月5日
- ■日本分子生物学会
- ■2016年12月1日
- ■アメリカ細胞生物学会
- ■2016年12月6日
- ■キーストーンシンポジウム
- ■2017年5月16日
- ■日本皮膚科学会
- ■2017年6月4日
- ■日本結合組織学会学術大会
- ■2017年6月17日
- ■日本未病システム学会①
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会②
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会③
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会④
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会⑤
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会⑥
- ■2017年11月4日
- ■日本未病システム学会⑦
- ■2017年11月5日
- ■アメリカ細胞生物学会
- ■2017年12月5日
- ■日本皮膚科学会
- ■2018年6月1日
- ■日本結合組織学会学術大会
- ■2018年6月29日
- ■国際ファシアリサーチコングレス
- ■2018年11月14日
- ■Cell and Tissue Research
- ■2018年11月17日
- ■アメリカ細胞生物学会
- ■2018年12月11日
- ■日本養生学会
- ■2019年3月9日
東京大学名誉教授、東京農工大学客員教授
跡見 順子
身体運動科学を専門とし、個体の運動と細胞活動のスケールから人間の生命について研究。
学会発表
- ■日本農芸化学会2009年度大会
- ■2009年3月28日(福岡国際会議場)
- ■日本食品科学工学会
- ■2011年9月10日
- ■第66回日本栄養・食糧学会大会
- ■2012年5月20日(東北大学川内北キャンパス)
- ■栄養補助食品・機能性食品国際学会
- ■2012年12月4日(火)(アメリカ合衆国ハワイ州)
- ■Journal of Functional Foods
- ■2013年10月
- ■栄養補助食品・機能性食品国際学会
- ■2013年11月8日
- ■日本栄養・食糧学会
- ■2014年6月1日
- ■Scientific Reports
- ■2014年12月15日
- ■アジア栄養学会議
- ■2015年5月15~16日
- ■栄養補助食品・機能性食品国際学会
- ■2016年10月12日
- ■総合科学誌「Nature」系のオンライン誌「Scientific Reports」
- ■2017年3月8日
- ■日本栄養・食糧学会
- ■2017年5月21日
- ■アジア太平洋ニュートリゲノミクス/ニュートリジェネティクス学会①
- ■2018年12月2日
- ■アジア太平洋ニュートリゲノミクス/ニュートリジェネティクス学会②
- ■2018年12月2日
東京大学特任教授
加藤 久典
東京大学総括プロジェクト機構特任教授。摂取する食事成分が体内の遺伝子発現に与える影響の研究を専門とし、特に皮膚での効果にも注目して研究を行っている。